海外「うちの国が買ってくれないかな…？」日本製対潜哨戒機「P-1」の状況を解説した動画に反響

（※詳しい内容は動画内のキーボードアイコン→歯車アイコンの言語選択で日本語字幕もご参照ください。）

• P-1は設計が良く、最新式の設備も搭載されている。しかし、国際的な市場では成功していない。なぜだろうか？
• 川崎重工が国産哨戒機の開発を始めたのは1968年。しかしのちのオイルショックによるインフレの影響で、政府はコストの安い米国のP-3（オライオン）を採用した。
• 1990年代後半になると、P-3に代わる新たな哨戒機が求められた。当時は米国がP-8（ポセイドン）を開発中で、米国との共同開発が自然な流れとなるはずだった。しかし、P-8は海上自衛隊の条件に見合わなかったため、国産機が必要になった。
• そこで日本の防衛省はP-Xプログラムを開始し、川崎重工がリベンジを果たすこととなった。同社製の輸送機C-2と共通の部品を使うことによりコストカットし、P-1が誕生。2007年に試験飛行、2013年に海上自衛隊に配備。
• P-1は11人乗りで、4発のターボファンエンジンを搭載。8つの爆弾倉と、6つのハードポイントを備えている。センサーの影響を受けにくいフライ・バイ・オプティクスという制御システムが搭載されている。全方位レーダーやAIベースの情報処理システムも備わっている。
• 低空飛行での操作性と安定性のある低翼デザインで、システムの一部には米国製の物もある。
• 2015年にはP-1試作機の改良版であるUP-1が登場。日本はP-1に基づく電子戦機・早期警戒管制機の開発も検討している。
• 日本はこれまでに、P-1をドイツ・ニュージーランド・イギリスへの販売することができなかった。
• 軍需産業は変化が少なく、従来の取引国と問題がない限り、新しいものは求められない。この点で、戦後しばらく軍備を提供してこなかった日本は不利なのである。
• 軍需産業には持続性も求められるが、日本は長期の部品供給やサポートの面で経験が浅い。
• また、P-1には米国製のP-8を上回るような革新的な技術が搭載されていない。P-8は長年の開発経験を持つボーイング製で、部品の流通などが容易なのも強みだ。
• P-1の販売先としては、タイ・ベトナム・フランスに可能性がある。
• しかし実のところ、日本はP-1を国外に売るために開発したのではない。日本は米国に次ぐ対潜哨戒機の運用国で、国内の需要が十分にあるのである。
• 米国のP-8が世界で購入された数は120機だが、日本のP-1は国内だけで60機購入されている。派生機を合わせて、川崎重工は最大80機を製造する。もし将来どこかの国が日本のシステムを求めることになれば、P-1は日本の輸出製品として高いポテンシャルを持っている。